AIに正しく読んでもらうために、広報が要る

取引先を調べるとき、採用に応募する前に会社を調べるとき、いま多くの人が検索窓ではなくAIに聞いています。そこで返ってくる自社の説明を、最後に確認したのはいつでしょうか。

AIが読んでいるのは、ウェブに出ている情報

生成AIは、会社の中を見て答えているわけではありません。ウェブ上に公開されている文章を読んで、それらしくまとめて返しています。つまり、自社について書かれたものが少なければ少ないほど、AIの答えは他人が書いたものに寄っていきます。

求人サイトの古い募集要項、5年前のニュース、まとめサイトの推測。悪意がなくても、そういうものが材料になります。そして間違ったまま伝わっていても、こちらからは気づけません。誰かがAIに聞いた画面は、こちらには見えないからです。

プレスリリースは、AIが読みにいく一次情報になる

ここで効いてくるのが広報です。プレスリリース、取材された記事、自社サイトに置いた事実。これらは、その会社について一次情報として書かれた、数少ない文章です。AIにとっては信頼して引きやすい材料になります。

自社の事実を、自社の言葉で、読める場所に置いておく。やることは今までの広報と何も変わりません。読み手にAIが加わっただけです。新しい対策が増えたのではなく、広報の役割が一段重くなった、という理解のほうが実態に近いと思っています。

多くの会社が、まだ途中の段階

企業109社への調査では、AI検索を意識した対策を「本格実施」しているのは10%でした。「試験実施」が35%、「情報収集段階」が26%で、残りは未着手です。7割以上がまだ途中ということは、いま動けば先に立てるということでもあります。

別の調査も、同じ方向を指しています。中小企業で生成AIを会社として活用している、あるいは個人利用を推奨している企業は31.1%。ただし用途の1位は「メール/報告書/議事録の作成・要約」で74.0%と、社内向けの文書作成に集中しています。広報でも原稿づくりには使われていますが、社外への発信を一連の流れとして回すところまでは、まだ広がっていません。

明日からできること

大がかりな話ではありません。3つだけ挙げます。

  • 自社名でAIに聞いてみる。ChatGPTでもClaudeでも構いません。返ってきた説明のどこが古いか、どこが間違っているかを書き出します。ここが出発点です。
  • 会社の基本情報を、自社サイトに文章で置く。事業内容、実績、代表者。画像の中の文字はAIに読まれにくいので、テキストで書きます。
  • 発表することを、発表する。新サービス、受賞、提携、調査結果。プレスリリースにして出しておけば、それがそのまま一次情報として残ります。

AIに正しく読んでもらうために、特別なことをする必要はありません。これまで後回しにされてきた広報を、きちんとやるという話です。


出典
Faber Company「AI検索対策アンケートレポート」(2026年6月3日〜7月7日実施、有効回答109社/同社メールマガジン購読者などが対象)
商工中金「中小企業の生成AIの利用にかかる調査」(2026年1月調査、回答3,892社/2026年3月31日公表)

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伴麻里