AIに引用される会社は何が違う?まず見直したい7つのこと

「ChatGPTで会社名を聞いても、うちが出てこない」
最近、こんな相談を受けることが増えました。

ただ、ここで少し分けて考えたほうがいいことがあります。会社名をそのまま入力しても出てこないことと、
「中小企業向けERPに強い会社は?」
「神奈川でBtoB広報を支援している会社は?」
「製造業向けの生成AI開発会社を教えて」
といった質問をしたときに、候補として出てこないことは、同じではありません。

企業にとって本当に重要なのは、後者ではないでしょうか。すでに社名を知っている人に見つけてもらうことではなく、まだ自社を知らない人がAIに相談したとき、候補のひとつとして挙げてもらえるかどうかです。

AIO、GEO、LLMOなど、AI検索への対応をうたうサービスも増えています。では、企業はAIに選ばれるために、何か特別な対策を始めなければならないのでしょうか。

用語について

AIO(エーアイオー/AI Optimization)とは、ChatGPTやGoogleのAI Overviewsのような生成AIが答えをつくるときに、自社の情報を正しく読み取って引用してもらうための取り組みのことです。検索エンジン向けのSEOに対して、AI向けの考え方、と捉えると分かりやすいと思います。

GEO(Generative Engine Optimization)、LLMO(Large Language Model Optimization)も、ほぼ同じ意味で使われています。

※いずれも業界で使われはじめた呼び名で、定義が定まっているわけではありません。Google自身は「AI機能に表示されるための特別な最適化は必要ない」としています。

少なくともGoogleは、AI OverviewsやAI Modeに表示されるための追加要件はなく、特別な最適化も必要ないと説明しています。大切なのは、これまでのSEOと同じように、役に立つ情報を公開し、検索エンジンが内容を理解できる状態にしておくことです。

では、AI検索で候補に挙がりにくい会社には、どんな特徴があるのでしょうか。たとえば、

  • Webサイトを見ても、何をしている会社なのか分かりにくい
  • 誰向けのサービスなのか書かれていない
  • 料金や対応範囲、実績などの具体的な情報が少ない
  • サービス名や会社名の表記がページごとに違う
  • 情報が古い
  • 自社サイト以外に会社の情報がほとんどない

といったケースです。もちろん、これだけでAIへの表示順位が決まるわけではありません。ただ、AIが回答を作るための材料そのものが少なければ、その会社を候補として説明するのも難しくなります。

まずは特別なAI対策を考える前に、自社の情報がきちんと外に出ているか。今回は、そのときに確認したい7つのことを整理しました。

1.「何の会社なのか」が一目で分かるか

まず確認したいのは、会社やサービスについて必要な情報がきちんと書かれているかです。たとえば「○○株式会社はDX支援をしています」だけでは、少し情報が足りません。

誰向けなのか。何を支援するのか。どんな課題を解決するのか。どこまで対応するのか。ここまで書いて、初めて会社の輪郭が見えてきます。

たとえば「中小企業向けにMicrosoft Dynamics 365 Business Centralの導入を支援しています」と書かれていれば、「中小企業向けERPの会社は?」という質問とつながる材料になります。逆に、その言葉がサイト上にまったくなければ、会社名を知らない人から見つけてもらうのは難しくなります。

まずは「誰に」「何を」「どんな課題に対して」「どこまで提供しているのか」を、第三者が読んでも分かる形で書けているか確認してみるといいと思います。

2.「豊富な実績」だけで終わらせない

「豊富な実績があります」「柔軟に対応します」「高品質なサービスを提供します」。企業サイトではよく見る表現です。ただ、それだけでは実際に何ができる会社なのか分かりません。

「多数のメディアに掲載」ではなく「9媒体に掲載」。「柔軟に修正します」ではなく「修正は2回まで」。「全国対応」なら、具体的にどの地域まで対応しているのか。公開できる範囲で数字、期間、対象、固有名詞を添えると、読み手にとって確認しやすい情報になります。

AIのために数字を書くというより、曖昧な表現を減らして、会社について説明できる材料を増やすという考え方です。

3. 会社名やサービス名の表記をそろえる

正式社名、英語表記、サービス名、料金、所在地。ページによって表記や内容が違っていないでしょうか。たとえば、トップページでは新しいサービス名、過去の記事では旧名称、料金ページには以前の金額、という状態です。

人なら前後の文脈から補完できますが、機械に正確に理解してもらうことを考えるなら、情報はできるだけそろえておいたほうが分かりやすくなります。

新しい記事を増やす前に、「会社名」「サービス名」「料金」「所在地」「代表者名」「サービスの説明」など、基本情報を一度棚卸ししてみるのもおすすめです。

4. お客様から実際に聞かれる質問に答えているか

「料金はいくらですか?」
「どこまで対応してもらえますか?」
「導入まで何か月かかりますか?」
「○○業界にも対応できますか?」
「他社との違いは何ですか?」

営業や問い合わせ対応で何度も聞かれていることがあれば、それはサイトにも載せられる可能性があります。特にAI検索では、利用者自身が質問文で検索する場面が増えています。だからこそ、自社サイトにも実際の質問への答えが用意されていると、読み手にとって分かりやすくなります。

FAQを増やすこと自体が目的ではありません。お客様が知りたいことに、その場で答えられる状態にしておく。そのほうが重要です。

5.「誰が言っているのか」が分かるようにする

会社の記事を読んでいて、「これは誰が書いているんだろう」と思ったことはないでしょうか。特に専門的な内容の場合、誰が発信しているのかは大切です。Googleも、コンテンツの信頼性を考えるうえで、「誰が作ったのか」を明確にすることを推奨しています。

すべての記事に長い経歴を書く必要はありません。ただ、「この記事は誰が書いたのか」「なぜこの人がこのテーマについて書いているのか」が分かるだけでも、読み手の受け取り方は変わります。

著者不明の記事を大量に増やすより、実際にその仕事をしている人が、自分の名前で経験や知見を書く。企業の情報発信では、そのほうが価値があります。

6. 構造化データは、本文を整えたあとに考える

構造化データについても、AI検索用の特殊なものを追加する必要はありません。Googleは、AI OverviewsやAI Modeに表示されるための特別なschema.orgマークアップは不要だと明記しています。一方で、構造化データを使用する場合は、ページ上に表示されている内容と一致していることが重要です。

つまり、構造化データだけを入れればいいわけではありません。先に、会社名、サービス内容、所在地、著者情報、料金や対応範囲といった情報を、ページ上できちんと伝える。そのうえで、必要なものを構造化データでも機械に伝える。この順番で考えたほうが自然です。

7. 自社サイトの外にも、会社の情報があるか

会社についての情報は、自社サイトだけにあるとは限りません。プレスリリース、業界メディアの記事、インタビュー、寄稿、note、動画、SNSなどです。

Ahrefsが2026年6月に公表した日本の調査では、Google AI Mode、AI Overviews、ChatGPT、Perplexity、Copilotの5サービスを対象に引用元を分析しています。総合ランキングではnote.comが2位、PR TIMESが6位。ChatGPTではPR TIMESが2位でした。

ただし、この順位は固定ではありません。4月と6月を比べるだけでも、引用されるドメインの順位は大きく変わっています。つまり「このメディアに出せばAIに引用される」という単純な話ではありません。

大切なのは、自社サイト以外にも、その会社について確認できる情報があることです。プレスリリースを出す。業界メディアに寄稿する。取材に答える。専門家としてコメントする。自社の知見を外部でも発信する。これはAIが登場する前から、広報がやってきたことでもあります。

では、SNSはどう位置づければいいのか。引用元ランキングの推移をもとにAIOのために、SNSは必要ですか?で整理しています。

llms.txtは、今すぐ対応したほうがいい?

最近よく聞くのが「llms.txt」です。AIにWebサイトの情報を伝えるためのファイルとして紹介されることがあります。

用語について

llms.txt(エルエルエムエス・ドット・テキスト)とは、サイトの中身をAI向けにMarkdownで要約した案内ファイルのことです。サイトの直下(https://example.com/llms.txt)に置きます。

検索エンジンのクローラーに「入っていいか」を伝えるのがrobots.txt。それに対してllms.txtは、AIに「うちにはどこに何があるか」を伝えよう、という発想のファイルです。

※Jeremy Howard氏が2024年9月に提案したもので、公的な標準ではありません(直近の改訂は2026年8月10日)。

Rankabilityの調査によると、2026年6月時点で上位1,000ドメインのうち、llms.txtを確認できたのは87サイト。全体の8.7%でした。一方で、451サイトは接続できないなどの理由で確認不能だったため、この数字だけで普及状況を判断するのは注意が必要です。

またGoogleは、AI OverviewsやAI Modeに表示されるために、新しいAI向けテキストファイルやマークアップを用意する必要はないとしています。さらに「生成AI機能への最適化ガイド」では、LLMS.txtファイルを作ること自体は問題ないが、Google Searchはこれを無視するため、置いても置かなくても検索での見え方や順位は変わらないと明記されています。

ですので、少なくとも現時点では「まずllms.txtを入れなければ」と急ぐ必要はないと思います。

それより先に確認したいのは、自社が何の会社なのか分かるか。誰向けなのか書かれているか。サービスの具体的な情報があるか。古い情報が残っていないか。自社サイト以外にも会社の情報があるか。こちらです。

まとめ

AI検索で本当に考えたいのは、「会社名を検索したときに出てくるか」だけではありません。もっと大切なのは、まだ自社を知らない人が、AIに相談したときに候補として挙がるかどうか。そのために、まず見直したいのがこの7つです。

  1. 何の会社なのかが一目で分かるか
  2. 抽象的な言葉だけで終わっていないか
  3. 会社名やサービス名の表記がそろっているか
  4. お客様から実際に聞かれる質問に答えているか
  5. 誰が発信している情報なのか分かるか
  6. 構造化データと本文が合っているか
  7. 自社サイト以外にも会社の情報があるか

こうして見ると、特別なことはあまりありません。会社について正しい情報を書く。具体的に伝える。情報を新しく保つ。誰が発信しているのかを明らかにする。自社サイトの外にも情報を届ける。どれも、広報が昔からやってきたことです。

変わったのは、会社を探す人がGoogleだけでなく、ChatGPTなどのAIにも質問するようになったこと。だからこそ、AI向けの小手先の対策を増やす前に、「知らない人がこの会社を見つけたとき、何の会社なのか説明できる情報が十分にあるか」。まずは、そこを見直すことからだと思います。

関連する記事

参考

  • Google 検索セントラル「AI機能とウェブサイト」(developers.google.com
  • Google 検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」(developers.google.com
  • Google 検索セントラル「生成AI機能への最適化ガイド」(developers.google.com
  • llms.txt 公式提案サイト(llmstxt.org
  • Ahrefs「AIが引用する日本のドメインランキング 2026年6月版|noteが2位に急上昇」(ahrefs.com
  • Rankability「LLMS.txt Adoption」2026年6月23日時点(rankability.com

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伴麻里